ブラジル選手の足技の原形は?

とりあえず、ブログを始めた時の、公約とでもいうべき、2つについて、書く事が出来ました。


しかし、今日の深夜には、ヨーロッパチャンピオンズリーグ第2節。アヤックスvsアーセナルは、落ち目の2チームだから、はっきりいって、期待していません。それよりか、バルセロナファンには申し訳ないですが、バルセロナvsウディネーゼに、「何か」を期待します。
カンプ・ノウですから、ホームですが、冷静な、そしてサッカーを見る目が厳しいバルサファン、ウディネーゼの力を、どう見積もっているかは分かりませんが、セリエAでは、優勝は出来ないクラブ、というのは、誰が見ても明らかな分、バルセロナの選手には、余分なプレッシャーがかかりそうです。つまり、「勝って当たり前。内容も伴う事も当然。」という、ファンならびに、地元マスコミのプレッシャーがかかっていそうな気がします。イアキンタも、セリエAで、あれだけ点を取っている選手、並みではないと思います。



さて、ブラジル選手の足技ですが、結論から申しますと、「カズダンス」です。


「??????」


はい、ゆっくり説明いたしましょう。
日本で、カズが、あのダンスをした時、「ブラジル風だ」とは感じたものの、その意味を「何となくサンバみたい」という風に理解している方は、未だに多いと思います。


ブラジルのフットボーラーは、他の南米諸国同様、ストリートで鍛えられます。基礎テクニックにおいて、ブラジルの選手が、他の南米の選手と、その競争を勝ち抜く倍率は別として、特別なものがあるという事は、見ては分かるものの、その理由について、「サンバ」くらいしか思いつかないのでは?


確かに、独特のリズム感は、「サンバ」によるものです。これが、「タンゴ」だったら、あんなトリッキーなリズムにはなり得ません。アルゼンチンの選手との違いです。ただ、ドゥンガに見られるように、最南部の、リオ・グランヂ・ド・スール州の選手は、「ガウショ」と呼ばれるように、アルゼンチンに近いスタイルです。その、リオ・グランヂ・ド・スール州の州都ポルトアリグリ出身の、ロナウジーニョが、凄いサンバのリズムを持っている事は、やや意外でありましたが。


ブラジル人選手の中には、「自分はサンバも下手だし」というような、選手もいます。当然ですが、中国やアメリカに匹敵するくらい、地方差が大きいのがブラジルであり、カカーのプレーには、サンバのリズムは感じられません。


サンバのリズムと足技の関係ですが、そこは、他のキーワードを必要とします。
カポエイラ
足だけによる、格闘技です。もともと、アフリカからきた黒人たちによって伝えられたもので、格闘技と言うより、イニシエーション(儀式)的要素が強いものです。日本にも、「奉納相撲」があるから、分かりやすいと思います。
これを伝統的に身に付けている、アフロ・ブラジリアンは、足のコントロールが非常に器用であるのです。カポエイラは、ブラジルの黒人の中で、カトリック教徒の白人の目を逃れる形で、受け継がれてきました。混血になっても、DNAの中にこの要素があるようです。


カポエイラで培った、足技で、サンバを踊った時、サンバには、独自のステップが生まれました。ヨーロッパや他の南米のダンスとはまったく違うステップが。それは、「カズダンス」に近いものです。もともと、不規則な変化をする、サンバと言うリズムに、カポエイラの足技が加わった時、サンバのステップは、とても複雑なものになりました。


ブラジル人選手で、ロナウジーニョのように、トリッキーなボール扱いをする選手には、サンバのステップでボールを扱っている様子が、はっきりと見て取れます。
ボールを足元において、サンバのステップで踊るだけで、他の文化圏の選手からすれば、とんでもないフェイントに見えるのです。「またぎ」「シザース」にしても、サンバのリズムがあれば、他のリズムを持つ選手とは、まったく違うフェイントとして、対応を迫られます。


サンバの発祥の地である、リオ・デジャネイロに、天才型の選手が多いのは、こうした理由によるところが大きいです。足の運び方からして、カポエイラの影響があるため、特殊なのです。カポエイラの伝統を受け継ぐブラジル人なら、足首の可動域でさえ、普通の選手とは違うでしょう。ロマーリオロナウドが、シュートの直前まで、足首に力が入っていないように見えるのも、こうしたところにあります。



あとは、リオ出身の選手の、「遊び癖」だけが治れば、最高なんですけどねえ。