フィーゴのドリブルが、炸裂する時

いきなり余談ですが、今年の野球界のドラフトは、高校生が、「近年にない豊作」だそうで。


サッカー界で言うと、1972年生まれが、「大豊作」といえるでしょう。
ジネディーヌ・ジダンルイス・フィーゴパヴェル・ネドヴェド。三人の、バロン・ドールを輩出していますし、それぞれの戦績、プレーを見ても、それぞれ「巨星」ですね。代表レヴェルでも、「一国を背負って立つ」人でしたし(ネドヴェド以外は、いまだに背負っている)、何より、同業者からの声望の高さ、というのが、彼らを「巨星」足らしめているゆえんでしょう。


さて、フィーゴですが、レアルに移ってからのフィーゴは、当時のレアルにジダンがいなかったせいもあって、「10番」を背負う事になり、ゲームメークをしなくてはいけない立場になったために、プレースタイルが変化しました。ピッチ全体を使うようになったというか。


バルセロナ時代というのは、サイドのプレーに集中出来たので、御意見番たる、ヨハン・クライフをして、
「世界最高の、ウイングプレーヤー」
とまで言わせました。この頃、というのは、もっぱらドリブルで1対1を挑み、2、3人抜きなんてのは、当たり前、という状態でした。この頃のフィーゴには、今とは違うリズムがありました。


とにかく、まだ若くて、スタミナがありましたから、ちょうど今のC.ロナウドのように、どんどん仕掛けてタテに進むプレーが多かったです。C.ロナウドは、持ち過ぎですが、当時のフィーゴは、既に「大人」のプレーヤーであり、仕掛けどころを心得ていました。彼が、ヨーロッパのDFをきりきり舞いさせたのは、彼のドリブルが「3拍子」のリズムだったからです。当時、リズム感の鋭い評論家は、既に指摘していましたが、「3拍子」というのは、サッカーでは、なかなか変則的なリズムとなります。


人間の足は、2本ですから、2拍子や4拍子に対応するのは早いのですが、3拍子、となると、リズムの切れ目が非常に分かりにくいのです。音楽をよくやった人であれば、3拍子というより、楽譜上でよく有る、「6/8拍子」の曲などは、リズムに切れ目がなく、持続的な感じがするものです。字であらわすと、
「タッタタッタタッタタッタ・・・」
DFが、飛び込むタイミングが非常につかみにくいのです。その上、今のフィーゴのようにフェイントを駆使しながら、切り返したり、ドリブルの速度を変化させたり、というような技を持つと、1対1では、対応出来ないでしょう。



現在のフィーゴは、年齢的に無理が利かないので、そうした、タテ勝負ばかり繰り返しませんが、彼の持つリズムが、もし、ロッベンやC.ロナウドに有ったら、もっとすごい突破を見せていると思います。現在、サイド突破が出来て、しかも得点を取る事の出来るプレーヤーは、大変重宝されていますが、バルセロナ時代のフィーゴには、まだまだ及ばない、と見ています。