東欧のリズム、ウクライナ戦を見て

ウクライナ代表、と言うと、まだなじみが無いが、現在の代表監督、オレグ・ブロヒン氏がいた頃の、旧ソ連代表は、スタメン全員、ディナモ・キエフの選手だった事があった。

ディナモ・キエフ旧ソ連リーグで、最多の優勝回数を誇る、ウクライナの雄。「西」がリヌス・ミケルス」をあげるなら、「東」はヴァレリー・ロヴァノフスキーをあげよう。
とにかく、ロヴァノフスキーと言えば、ディナモ・キエフにおいては、絶対的な存在。マンチェスター・ユナイテッドファーガソンとは比べ物にならない。ほとんど、全権限を掌握していたのだ。ロヴァノフスキー氏も、年齢には勝てなかったが、そのノウハウは、今のウクライナ代表に受け継がれている。

簡単にいうと、「堅守速攻」だ。洗練された形のカウンターアタックを繰り出す。東欧の選手と言うのは、民族的にいえば、スラブ民族であり、伝統的には、ポルカのような、草原の踊りはおなじみなのだが、サッカー選手に限ると、もっぱら好きな音楽は、テクノ。トランスあたりが大好き。もう、ハイテンポで、「ズカズカ」とやる音楽が大好き。

これは、カウンターを仕掛ける時の、あのスピード感に感じられる。とにかく、速い。これは、ボールのスピードが速いだけでなく、選手の足も速い。とにかく、走る、走る、走る。ここで、「ん?」と思った方も多いと思う。ジェフのオシム監督のサッカーも、ロヴァノフスキーを参考にしているのだ。
走り出したら、めっぽう速い。反射神経も速い選手を、意図的に選んでいて、また、判断の速い選手もそう。つまり、今どきの日本のサッカー用語でいう、「ゴールデンエイジ」の時に、既にそうした、子供の素質を見抜いて、伸びる選手を育てていく。これが、ディナモ・キエフ流である。

東欧の選手は、みなテンポがすごく速い。しかし、その歴史の複雑さからいって、簡単にそのテンポを出したりはしない。カウンターを仕掛けるタイミングを、しっかり計って待っているのだ。それは、サッカーの歴史があるから、いつカウンターを仕掛けるか、なんて事を、いちいち集まって相談したりはしないのだ。